力を使わないフォームで走るH

力を使わないで走る。現場でよく使われる言葉です。

この曖昧な言葉の定義付けが必要と思い、考察してみました。

平地を走る場合、力を使わないフォームとは 以下の3パターンです。

1-重力を使う
2-多関節を連動させた上で伸張反射を使う=初動負荷の動き
3-正確な運動軸上で、競技に有利な関節の角度で運動する

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最初に重力を使って走るについて考えてみましょう。

重力の恩恵を受けるのは、スタートの局面、特にブロッククリアランスだと思います。私は、スタートの一歩目で下丹田が落ちる感覚で走っています。

また、身体がリラックスしていないと、重力の恩恵を受けることができません。

その2
2-多関節を連動させた上で伸張反射を使う=初動負荷の動き

短縮性収縮はパワーの放出ですが、伸張性収縮はパワーの貯金ということになります。伸張性収縮は多くの関節をまたいだ方が、大きなパワーをためておけます。例えば、膝関節だけを使って、スクワットをすると、大腿四頭筋しか使えませんが、股関節と膝関節が連動できると、大臀筋とハムストリング、内転筋等も使用できるようになります。その結果、多くのストレッチパワーをためて置くことができます。
2つの関節に伸張性収縮のストレッチパワーをためて置くことをダブルエクステンション、3つの関節にまたがると、トリプルエクステンションとなります。

スプリントにおいては、股関節、膝関節、足関節の3つの関節が連動して動くときにもっとも理想的な動きができます。

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3-正確な運動軸上で、競技に有利な関節の角度で運動する

,ますは、運動軸について考えていきます。運動軸は、センターとか正中線とか呼ばれます。

この運動軸は運動する上で一番大切な身体意識です。そして、一流と二流を分ける決定的な差となります。これは経験則ですが、私が日本選手権等で朝原選手や、伊東選手ら、トップ選手と競い、肌で感じたことは、日本選手権レベルになると、一流選手と二流選手は単関節での筋力や関節の角速度などの差はほとんどないということです。

それでは、なにが違うかというと、運動軸の精度がとても高いのです。

しかも普段から。
1998年の日本選手権、
召集会場からトラックに向かうときに
私は伊東浩司さんの後ろを歩いていました。そのセンターの意識たるや、ものすごいものでした。勝負するものとして、スタート前から諦めていてはいけないのですが、伊東選手の歩く姿をみて、これは勝てないかも知れない。と思ってしまいました。それほど圧倒的なものでした。

伊東選手はその大会で10秒08のアジアタイ記録を出し、同年のアジア大会で10秒00のアジア記録を出しました。

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先程書いたトリプルエクステンションを実現するためには、正確な運動軸が必要不可欠となります。

また、正確な運動軸のなかでは、すべての関節は連動します。つまりチームワークが良い。

トリプルエクステンションのメリットは大きな力を蓄えることができることですが、もうひとつのメリットは、疲労しにくい動きであるということです。すべての関節に均一に負荷をかけることができるというメリットははかり知れません。

対して、運動軸がない動きは、独立している。個々の力はあったとしてもチームワークがありません。確かに瞬間的にはパワーを出せます。仕事で例えると、短期的な成功はあります。個人プレイだけでは、長期的な成功はできません。

スプリントは連続動作ですから、1回の成功ではだめなのです。50歩で走破するわけですから、50回連続で成功しなくてはなりません。

運動軸のない動きは、ひとつの関節筋だけが、疲労してしまい、そこから失速が始まるのです。樽で例えれば、そこから水漏れするのです。他の板がどんなに高くても、ひとつの板が低ければ、水漏れします。

スタミナ練習、つまり走り込みが必要かどうかという議論に関して、いろんな意見があります。私もショートスプリントの練習だけで、100mが走れてしまった時期がありましたので、そのときは、スピード命。走り込み不要だと信じていました。しかし、今回のようなレースを通して学んだことは、走り込みの目的は、スタミナをつけることだけではなくて、正確な運動軸を体に染み込ませ、運動を自動化するためであると、最近理解できるようになりました。

走り込みでを何本か続けていると、筋肉が疲労してきます。その疲労している状態で、走ると、今まで、関節が独立して、つまり単関節化していた動き、チームワークのない動きが、多関節化せざるを得なくなる。

つまり、本当に自分がピンチな状態の時は多少仲が悪かろうか、そんなことは関係なく、チームワークで皆さんの力をお借りして、力を結集して、ピンチを乗り越えなければ、ならなくなる。

つまり、走り込みとは、正確な運動軸を持たなければ、前に進めなくなる状況を強制的に作る。ということではないでしょうか。

走り込みでは、インターバル中の歩く姿勢がとても大切です。疲労していると、どうしても背中を丸めて猫背でトボトボ歩いてしまいがちですが、疲れているときこそ、正しい姿勢で歩く癖をつけましょう。

実際に走る前にスプリントドリルをする選手は多いと思います。実際に疾走する前に動き作りをしておいて、その動きを覚えた後、実際に走る訳です。

つまり、走る前の準備運動や動きのひとつひとつが実際の本練習にとても大きな影響力を持つことを経験からみなさん知っている。ということになります。

ただ、そうであるならば、インターバル中の姿勢も同じようにとても大切なのではないでしょうか。インターバル中のうごきが実際の本練習の動きに大きく影響するという考えは、スプリントドリルを実施している選手なら容易に理解できることだと思います。

センターの意識はトラックで走る時だけにとどまらず、ウエイトを行うときも、プライオメトリクスを行う時も、あるいは、普段の歩く時や椅子に座っている時などすべての身体運動や休息姿勢において、意識されるべきもの。私が次の殻を破るためのキーワードになりそうです。

Comment

うちの高校の冬合宿でやらせている
100m100本も根性だけでなく、技術的な意味があるんですよね。
インターバルのウオークも姿勢を気を付けるよう指導します。
2014⁄11⁄07(金) 20:12 | | [edit]

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