手記:2014年 JR京都駅ビル階段駈け上がり大会

JR京都駅ビル階段駈け上がり大会。
チームは優勝しまたが、個人は連覇ならず2位に終わりました。本当に連覇は難しいですね。

昨日の京都駅ビル大階段はまさに異空間でした。異様なの興奮状態からから一晩明けてようやく現実に戻り、今日は会社で仕事です。
今日は会社で新人が入ってくるということで、初日の新人研修を私が担当し、職場内の場所を教えているときでした。私の職場は第一ビルから第三ビルまであり、とても入り組んでいる構造なので、目的地に行くのにひと苦労します。場所の分からない新人さんなら、なおさらです。

今日の新人さんはなかなか理解が早く、場所を一通り覚えたので、今度は問題をだして、「それでは第一ビルの6階に自力で行ってみよう!」と彼の理解度を試しました。そして、私は彼の後を歩き新人さんについていきました。新人さんは見事自力で目的地に到着しました。

新人さんの歩く姿を後ろから観察していて分かったことがあります。それはの自信度が歩く姿に反映されるということでした。場所がどこか分からないときは、やはり一足一足(ひとあし)に「迷い」があります。道に迷っているひと一目でわかります。明らかに足元がふらふらしているものです。どんなに顔で平生を保っていたとしてもやはり足元はおぼつきません。

しかし、慣れてくると、はっきり目的地とそのルートが分かっているので、一足一足に迷いがありません。その足の運びは最短で、まっすぐ目的地に向かっています。まるで、通勤電車の席取争奪レースのサラリーマンの駅ダッシュのようです。迷いなく最短距離でカーブを曲がり一点の無駄なく突き進みます(笑)

陸上も同じです。自分の技術の目的が頭と身体でリンクして分かっている選手には一足一足に迷いがありません。しかし、技術の目的を頭だけで理解している選手、または感覚だけで理解している選手、技術に自信を持てない選手ははどこかふらふらしています。インテリを装って、クールを演技しても一目で分かります。


「今回の僕は頭でっかちだったなぁ。たかがかけっこと考えればよかった。」



妄想好きな私は仕事中にそんなことを考えながら、新人さんの姿を見て、昨日のレースを反芻(はんすう)していました。


今回個人優勝した堀尾君は言い換えると、通勤サラリーマン。「迷い」がありませんでした。対して私は「迷い」があったように思います。レース前には絶対的な自信がありましたが、レース中に感じた違和感がどうしても理解できず、「迷ったまま」レースはどんどん進んで行ってしまいました。ほんの小さな迷いでしたが、一歩あたり、0.01秒迷ったら70歩で0.7秒です。そういうメンタルな所で勝負はついていたように思います。連覇は本当に難しいですね。

そのまま力技で行けばそれなりに走れたかも知れません。しかし、夏のレースで力技を使った結果、肉離れをした恐怖をまだ精神的に克服できていなかったのでしょう。

毎年クライマーズの選手は開会式前に全力走で1本試走することにしています。今年はゆきちゃんもまこくんも試合前に171段を全開で走りました。試走ではゆきちゃんは29秒、まこくんは22秒9でした。池野さんも125段を全開で走りました。私はというとばねを温存するために通し練習をしませんでした。また、タイムをとることで自分のコンディションがはっきり分かるのですが、それはモチベーションを下げることもあるというのが私の考えでした。

しかし、ここが大きな失敗だったように思います。今回は試走すべきでした。何度も。オーバーペースで思いっきり突っ込んだパワーポジションを取って、あえて練習ですこし転んだらよいフィードバックが得られたかも知れません。つまり、本番当日に2レース走れるだけのスタミナも準備することが来年の課題ということになります。



記録は自分次第、順位は相手次第(KAZ語録)
※三浦カズではありません。



勝負事に「~たら、~れば」は禁物です。ただ、なにごとにも原因と結果があり、初参加から4年連続して自己ベストを更新していた記録が5年目にして途絶えたことの原因を考えたとき、以下の原因が思い浮かびます。



【走力】
私はスプリンターです。速く走れてこそ、階段走も生きるというもの。しかしハムの肉離れもあり、10月16日からスプリント練習をまったく封印して階段選手権に臨みました。これが「吉」ではなく「凶」とでました。踊り場でのストライドは昨年のように伸びず。ちょこまかした走りになっています。

逆に堀尾くんや高村くんは夏場に走力を向上させ、それを土台として階段練習をしっかりやっていたので、今回自己ベストを出せたのだと思います。



【ピッチタイプの選手】

2013年ドライコンディション
2014年ウエットコンディション

堀尾20.63(2013年) → 20.05(2014年)

【ストライドタイプの選手】
吉田20.09(2013年) → 20.73(2014年)
丸尾20.44(2013年) → 21.37(2014年)



【ストライドを出すときのメカニズム】

ストライドを出すということは地面を長く押すということです。ピッチはその逆。接地時間が短くなり地面を押す時間は短くなります。それでは昨日のような地面が濡れいている時はどうなるでしょうか。地面が濡れているときは、接地の瞬間での鉛直方向のキックはいつもよりも弱めです。はじめからガツンと接地はできないです。転んではいけないので、ややソフトな接地になると思います。でも鉛直方向の力はいつもと同様に出さなくては、階段を3段分上がれないのでキックの後半でしっかり蹴ります。そうなると、前回転の力が大きくなり、前に転倒する回転力が生まれます。

もちろん、転倒しては元も子もないので、転倒しないように後半にはあまり力を込めないでキックを繰り返します。もう少し強くキックしても良いだろうか?いやこれ以上強くキックすると転んでしまうのではないだろうか?そういう「迷い」が生じます。そしてその結果、ストライドは小さくなります。



ピッチタイプ選手は地面に大きな力を加える必要はないので、前に転ぶ回転力があまり生まれません。つまり、有る意味リスクがない走りです。堀尾くんはそういうパワーポジションを持っていました。そのパワーポジションを完全に自分のものにしていました。そうとうな反復練習で会得したのは想像に難しくありません。

重い物(人間)をすばやく動かす能力がピッチです。つまりピッチは最大筋力に依存します。パワーがなくてはピッチは向上できないのです。私は昨年度はパワーウエイトにこだわっていましたが、スケジュールや怪我もあり、今年は軽めのウエイトで満足していたのも敗因のひとつです。


ちなみに今回京都階段初挑戦だった掛川真くんは「蹴らないで押すと進む」と言っていました。初挑戦でこの感覚をフィードバックできるとは、さすが繊細な感覚を持ち合わせいるなぁと思いました。私は彼の走力よりもこういう「感覚をフィードバックできる能力」を大いに買っています。それこそが選手の伸び白を決めるからです。


今年の京都階段では、ウエットコンディションの時点で私の負けでした。(しかしドライでも勝てなかったと思います。)私は完璧なシューズを用意していたので、それに慢心して走法について考え抜くことをしかなったように思います。今後、ドライコンディションの時はストライドを狙い、ウエットコンディションの場合はピッチ走法を狙うといった走法の使い分けが必要になると今回感じました。またシューズもドライでは反発力を重視し、ウエットではややソールを柔らかくして足裏感覚が良く分かるようにして、エッジを使えるようにする必要性も感じまた。


ちなみにドライでもウエットでもどちらでもしっかりグリップを確保できる操さんのエッジ走法はまさに最強です。


話をレースに戻しますと、特に堀尾君との差が付いたのは第3ブロックから第10ブロックです。スタートから第3ブロックまではほぼ互角でした。ここは爆発的に加速する局面です。この局面では鉛直方向に「ガツン」とキックしてもこけることはありません。しかし、加速力と減速力が同じになったとき、つまりトップスピードに達した時は、前に転ぶ力が増大します。


これは、福男でも同じ事です。ゴールの本殿でこける選手が多いのは単にばてているからだけでなく、減速しているからです。バイオメカニクス的に説明すると、滑りやすい地面でも加速しているときは意外とすべりらないものです。しかし、減速時には加速の力よりブレーキの力のほうがも大きくなっているので、前回転の力が生じ、こらえ切れずに前に転んでしまうのです。


昨日の京都階段での私はで私は強くキックして良いものかどうか「迷い」ました。結果、若干ですが、弱めにソフトにキックしてストライドを伸ばせなかったのです。でも強くキックしていたら、たぶん転んでいたと思います。


私と同じストライドタイプの丸尾君は「全然疲れていない。出し切っていない感じがする」と言っていましたが、私と同じ感覚だったのだと思います。初めからガツンといくキックをしないで、ゴールまで来てしまったので、私も出し切った感じが全然せず、疲労感もなかったのです。


堀尾君のようなピッチ走法を実現するためには単にピッチを速く刻むのではなく、膝関節の角度を小さくしてさらに低く構えて上がっていく新しいパワーポジションの習得が必要になると感じました。しかしこの技術の実現には相当な最大筋力アップが必須であると思います。すぐに真似できる技術ではないと思います。


今年の私は、堀尾くんとは対極的にさらにばねを貯めてストライドを出すパワーポジションを追求したわけですが、ウエットコンディションでは、それを出すことが今回は全くできませんでした。来年からは、あえて滑る靴を履いて、練習する必要性も感じています。


第11ブロックから第14ブロックは私は多少追い込んだと思います。昨年同様に後半もう一度パワーポジションを整えました。足ではなく、背筋を使って上がる技術は今年も発揮できたと思います。「疲れたときこそ、体幹部を使う。」この技術は練習通りの物がだせました。堀尾くんは膝関節の角度の小さいパワーポジションを取っているため、大腿四頭筋が極度の疲労を迎えています。そのため、後半は多少ばたついていましたが、勢いでもって行きました。後半ばてることも計算の上で、自分の弱点も熟知した上での冷静なレース運びだったと思います。たぶんこのスタミナは、相当な階段数を駈け上がった証だと思います。

私はスマートな走りを追求し、堀尾君は努力と根性で勝った。
一言でいえば、今年はそういう戦いでした。

しかし、堀尾くんは単なるスポコン根性練習で勝利をつかんだ訳ではありません。堀尾くんや高村くんは本当に謙虚な男で、私のアドバイスを聞き入れ、例年トレーニングを改善しています。おそらくこのブログも逐一チェックしていることでしょう。私がこのブログで自分の考えや分析を述べることは有る意味ライバルに塩を送ることになるので、やめた方が良いのではないかとも思ったこともあります。しかし、私は知識は教えてこそ、理解度が高まるものです。インスピレーションは伝えてこそ、新たなインスピレーションが与えられるものだと私は経験から知っています。分かち合えば分かち合うだけ増えるのです。今持っている既存の知識を自分だけのものにしてしがみついているようでは、神様は新たな
ひらめきを天から与えることをなさらいでしょう。


今年は堀尾君に勝利の女神がほほ笑みました。勝利の女神は気まぐれには、ほほ笑みません。誰よりも努力したもの顔を見てしっかり見定めてから微笑みます。今年の勝利は彼の努力と他人の意見を取り入れる謙虚さの証です。本当におめでとう。

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